【開催レポート】9月16日(木) 第二夜 「希う(こいねがう)私らしさ」ー多様性の中で自分らしさに気づくー
先週9月16日(木)、オンラインスナック「大正ロマン」第二夜を開催しました。
毎回テーマとテーマワインが設定されている「大正ロマン」。第二夜のテーマは「希う(こいねがう)私らしさ~多様性の中で自分らしさに気づく~」でした。
大正時代末期から昭和時代初期にかけて活躍した童謡詩人金子 みすゞさんの詩からインスピレーションを受け、「多様性の中で自分らしさに気づく」というトピックで、全国から参加した多様な参加者たちでゆるく、そして深く語り合いました。
ワインエキスパートがセレクトしたテーマワインは、インヴィーヴォ X SJP(サラ・ジェシカ・パーカー) ソーヴィニヨン ブラン。「多様性」の街であるニューヨークのアイコン的存在、サラ・ジェシカ・パーカーワインメイキングに深く関わり、自身の感性を通して追求してリリースしたニュージーランドワイン。ワインエキスパートの解説を聞きながら、離れた場所にいながら同じワインを一緒に味わいました。
本当にさまざまな会話が繰り広げられましたが、一部をご紹介したいと思います。
問1「自分らしさを大切にしている人と聞いて思い浮かぶのは誰ですか?」
この問いに対し、現代を一緒に生きている日本人の方の名前が多く上がりました。
家族や恩師などの身近な人、スポーツ選手や芸能人などの著名人、の2パターンに分かれていました。もちろん中には、過去に生きた海外の芸術家の名を挙げる方も!
その理由は様々で、「やりたいことを中心に合理的に生きているから。」「自分の物差しで会話しているから。」「セオリーを無視してオリジナルの方法で結果を残しているから。」「自分の価値判断基準で生きているから。」などの理由が挙がっていました。
問2「あなたにとっての自分らしさとはどのようなものですか?」
この問いの回答としては、「自分にも他人にも誠実な人」や「自分独特の空気感を持っている人」など、「自分らしさ」の定義について答えた方が大半でした。
ただ、この問いに関しては、上記問1の回答から伺い知れるものが多くありました。その人それぞれが「自分らしくあるということをどう捉えているか?」と言う、もう少し心の深いところにあるものが垣間見えたような気がします。
例えば、「〇〇さんは自分らしく、自分の思うように生きている。でも周りは迷惑だと思う。友達にはなりたくないタイプ。」と言う回答がありました。
「自分らしさ(一般的にポジティブ)」と「自分勝手(一般的にネガティブ)」が同義に思えたり、「自分が楽しむ」と「他人に迷惑を掛けないこと」は同時に成立しないと思えたり、そんな思いが心の奥の方にあったのかもしれません。
問いは、「自分勝手(一般的にネガティブ)な人と聞いて誰を思い浮かべますか?」と言うものではなく、「自分らしさ(一般的にポジティブ)を大切にしている人と聞いて誰を思い浮かべますか?」と言うものでしたので、自分がポジティブに捉えている人を挙げたと思います。それなのに、「友達になりたくない。」と言う気持ちは、一体何を意図しているのでしょうか?
もしかしたら、「本当は憧れているけれど、それを実現することを邪魔する何かがある。」と言うことかもしれません。
それは「自分勝手は良くない。」「他人に迷惑を掛けるべきではない。」など、受けて来た教育や社会通念が邪魔をしているのかもしれません。
また、そのような教育や社会通念も、その人の観念によって解釈されているものと言う意味では、「自分らしさ」を邪魔しているものは、実は自分自身の観念なのかもしれませんね。
そもそも多様性とは?
わたしが両手をひろげても、お空はちっともとべないが、とべる小鳥はわたしのように、地面(じべた)をはやくは走れない。
わたしがからだをゆすっても、きれいな音はでないけど、あの鳴るすず(鈴)はわたしのようにたくさんのうたは知らないよ。
すずと、小鳥と、それからわたし、みんなちがって、みんないい。
金子みすゞさんの「みんな違ってみんないい」というこの詩には、共感できる部分が多くあります。
「わたしという人と小鳥、鈴という、動物・物質をも含めた多様性を受容、尊重し、それぞれが自分らしさを発揮し、調和している世界」が表現されています。
人間の世界だけでも、自分と全く同じ人は存在しません。人種の違い、習慣の違い、価値観の違い、性格の違い。一人一人が必ず違い、その一人一人が集まって、この社会はできています。
そして、「わたし」もまた、その多様な人々の中の1人。自分らしさを大切にしたいということは、他の人たちの自分らしさも大切にする、ということにほかなりません。
ただ、多様性を尊重するというのは、「あなたと私は違う(You & I)」ということが前提にあります。この前提を変えて、「あなたと私は同じ(We)」としてみたらどうでしょうか? もともと同じなのだから、わざわざ違いを認識して認め合ったり、尊重し合う努力をする必要もなくなります。
近年ダイバーシティという表現で多様性が盛んに取り上げられていますが、多様性は、大正時代から社会のテーマになっていて、多くの人が興味関心を寄せていたり、悩んできたテーマなんですね。
100年以上続くこのテーマの前提をそんな風に変えてみると、見えてくるものがガラリと変わるかもしれません…。
参加者からの感想
さまざまな価値観や経験を持つ参加者が、共通のテーマのもと、全国からオンラインで集いました。参加者からの感想の一部をご紹介します。
・とにかく楽しい!みんな何気なく話しているが、人それぞれに哲学があると感じた。
・参加する前は「自分らしさってネガティブな面もポジティブな面もあるな。」など難しく思考していたが、話しているうちに「心地よくて楽しいことを大切にすればいいだけなのかも。」と思うようになった。
・改めて「自分らしさ」について考えたり会話しているうちに、「自分らしさ」が分からなくなってきたが、この状態もまた、面白いと感じた。
・自分でも気づいていない心の奥底にあるようなことが炙り出されてくるのを感じた。
・自分の家族について話したが、全く知らない人たちが真剣に意見してくれて新鮮だった。普段は「家族」の域から出ないテーマも、アドラーやマズローの話にまで発展して興味深かった。
・一つの事柄が、想定以上にいろんな物事に結びついているということを、再認識した。
・「自分らしさ」は人と違っていないといけないとどこかで思い込んでいたことに気づいた。人と同じでセオリー通りでも、自分が信じたり心地いいことであればそれは「自分らしさ」。
・対照的な性格の自分の2人の息子について話していたが、話しているうちに、自分自身の中にも同じように相反する要素が存在していることに気づいた。
・思ったことを感じたままに話せる場があることは、非常にありがたい。「大正ロマン」はずっとそんな場であってほしい。
第二夜を終えて
私自身、開催中の会話の中でも様々な気づきがありました。それだけに留まらず、終了後の日常生活においても、ふとした瞬間に「あの場での誰かの発言」をふと思い出されます。それによって、自分自身の解釈の幅が拡がったり、深さが深まる感覚を味わっています。
次回10月1日(金)21-23時開催の第三夜「「うつろう現在(いま)芽吹く未来~伝統と革新のコラボレーション~」も楽しみです。
■10月1日(金)21-23時開催第三夜「うつろう現在(いま)芽吹く未来~伝統と革新のコラボレーション~」https://community.lay-mindfulness.com/information/present-future/
(記者:大正ロマンりなこママ)
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